雨漏り修繕
屋上のコンクリートからポタポタと雨漏りがしていて、困ってはいませんか?
鉄筋コンクリート造の建物の場合、屋上が完全にコンクリートで覆われているので、雨漏りはしないと思いがちではないですか?
ところが、コンクリートは必ずしも雨に強いとはいえません。コンクリートの劣化などが原因で、屋上のコンクリートから雨漏りが発生してしまう可能性があります。
そこで今回は、屋上コンクリートから雨漏りする原因と、屋上コンクリートからの雨漏りの補修方法についてご紹介します。
屋上コンクリートから雨漏りする原因
鉄筋コンクリート造はコンクリートの構造体内部に、コンクリートを入れて強度を高めた造りになります。耐震性や耐久性にすぐれているのが特徴です。
一般的には木造住宅より鉄筋コンクリート造の方が、丈夫で高寿命なイメージがありますが、実は雨漏りしやすいというデメリットがあります。
屋上コンクリートから雨漏りする原因1.コンクリートのひび割れ
鉄筋コンクリート造の建物の場合、築年数に比例してコンクリートのひび割れが発生する可能性が高くなります。ひび割れが発生する主な原因は以下になります。
乾燥収縮
ひび割れの原因としてもっとも多いのが、乾燥収縮によるひび割れです。これは、コンクリート内部の水分が蒸発することで、コンクリートが収縮します。収縮することで、引っ張られたコンクリートが耐え切れず、ひび割れが発生してしまいます。
気温変化
コンクリートは温度が高くなると伸び、低くなると縮む性質があります。その時に発生した力がコンクリート強度を上回るとひび割れが発生します。
コンクリートの中性化
コンクリートは吸水性が高い素材で、雨や大気中の二酸化炭素に長い間さらされることで、コンクリート内部のカルシウム化合物が中性化してしまいます。コンクリートが中性化すると、鉄筋がさびて膨張してしまいコンクリートがひび割れてしまいます。
施工不良
コンクリートの厚みの不足や、強度不足など施工に問題があった場合、ひび割れが発生する可能性があります。
上記のような理由で、屋上のコンクリートにひび割れが発生し、そこから雨水が内部に染み込み、雨漏りが発生してしまいます。
コーキングの劣化
屋上の目地や、手すりが取りつけられている笠木まわりなどに使用されている、コーキング剤が劣化してしまいひび割れやすき間ができ、そこから雨水が侵入することがあります。
防水層の劣化
コンクリートの屋上の床には、必ず防水層が施工されています。防水槽は屋上にたまった雨水が、建物内に浸水するのを防ぐために施工されています。
施工方法としては、ウレタンなどの液状の防水材料を塗布する「塗膜防水」や、塩化ビニールなどのシートを張る「シート防水」、液状とシート状のアスファルトを組み合わせた「アスファルト防水」の3つの方法があります。
屋上の下地の状態などの条件を考慮して、適正のある方法が選択されます。どの方法でも耐久年数は一般的に10年ほどと言われており、経年劣化によって防水シートや防水塗料のひび割れや剥がれ、破れなどが生じて雨漏りが発生します。
排水口のつまりや劣化
屋上には雨水などを排出する排水口がもうけられています。この排水口にゴミや枯葉などがたまり、雨水が流れずにあふれてしまいます。
他にもベランダの排水口は、直射日光や雨水にさらされていて劣化しやすい箇所になります。排水口が劣化すると、排水口まわりの防水層が剥がれてしまい、すき間ができてしまいます。そのすき間から建物内部に雨水が入り込んでしまいます。
勾配不良
屋上の床を支える構造体が、何らかの原因で変形し傾斜が狂ってしまうことで、排水口に向って雨水が流れていかない状態を勾配(こうばい)不良といいます。
勾配不良が起きると雨水が途中で水溜りになってしまい、床部分の損傷から雨漏りになってしまいます。また、水溜りと乾燥を繰り返すことで、防水層が急速に劣化してしまう可能性があります。
施工時から勾配がきちんと取れていない場合や、防水層の打ち直しなどの補修を行った後に勾配不良になるケースがあります。
特に突然水溜りができるようになった場合には注意が必要です。内部構造の大きな損傷などが考えられますので、至急専門業者に点検依頼を行いましょう。
屋上コンクリートからの雨漏りの補修方法
屋上のコンクリートから雨漏りが発生した場合、被害を拡大させないために、なるべく早く補修を行う必要があります。ここでは代表的な雨漏りの補修方法をご紹介します。
※安全が確保できれば、自分で補修できる方法もありますが、DIYによる補修はあくまでも応急処置です。なるべく専門の業者に相談、調査依頼をおすすめします。
ひび割れには表面的で浅いヘアークラックと、内部まで深く割れている構造クラックがあります。まず最初にひび割れの大きさを測り、自分で補修可能かどうかを確認しましょう。
自分で補修可能なひび割れの大きさ
ひび割れの大きさが0.3mm~1mmほどの幅の場合、自分で補修が可能です。0.3mm幅以下のひび割れについては、雨漏りする可能性は低いため、急いで補修する必要はありませんが、ひび割れが大きくなるのを防ぐために補修しておくと安心です。
ひび割れ補修の方法
屋上のコンクリートのひび割れ補修を行う場合、コンクリート粉を塗布し、適量の水を加えながら補修を行います。補修方法は「チョーク式」と「スプレー式」の2種類の方法があります。
【チョーク式補修方法】
1.屋上の床のひび割れ箇所に指で水を塗布する
2.チョーク型のコンクリート粉をひび割れ箇所にに塗りこむ
3.1.2の作業を約10cm間隔で繰り返し行う
4.最後は指でしっかりと押さえ完了
スプレー式の補修方法は以下になります。
【スプレー式補修方法】
1.ひび割れ箇所を水で濡らす
2.ひび割れ箇所にセメントスプレーを塗布する
3.スポンジでならして完了
自分で補修を行う際の注意点
ひび割れ箇所にコンクリートをしっかり定着させる必要がありますので、以下のことに注意して行いましょう。
・湿度の低い晴れた日に行う
・ひび割れ箇所とそのまわりの汚れを事前に取っておく
・ひび割れ箇所が油分で汚れている場合、洗剤やアルコールで掃除しておく
・補修箇所以外が汚れないように養生する
コーキングの打ち直し
屋上の床の目地のコーキングの劣化が原因で雨漏りしている場合、コーキングの打ち直しを行います。屋上の補修の場合は、一般的にはポリウレタン系や変性シリコーン系のコーキング剤を使います。
【必要な道具】
・コーキング剤
・コーキングガン
・カッターナイフ
・下塗り材
・ハケ
・ヘラ
・マスキングテープ
コーキングの打ち直しの方法
基本的なコーキングの打ち直しの方法は以下になります。
【コーキングの打ち直しの方法】
1.古いコーキングをカッターナイフを使い、切れ目を入れながら全て取り除く
2.コーキングを打ち直す箇所を洗浄し、完全に乾燥させる
3.打ち直す箇所のまわりにマスキングテープを貼る
4.ハケを使い下塗り剤を塗る
5.補修箇所にコーキングガンを使いコーキング剤を充填する
6.ヘラを使いコーキング剤を成形する
7.マスキングテープを剥がして、1~2日ほど乾燥させて完了
防水層の再施工
屋上の床の損傷は小さい場合、補修用の防水テープで応急処置を行うことは可能です。しかし、損傷が広範囲に及んでいる場合は、防水層の再施工を専門業者に依頼することをおすすめします。
屋上の場合は特に紫外線や雨が直接当たり劣化が激しいため、早めに対処を行うのが望ましいです。
排水口のつまり解消
排水口にゴミや枯葉などがたまっている場合は、ゴミを取り除き排水口に雨水が流れるようにしましょう。排水口まわりの防水層が剥がれてしまい、すき間ができている場合は、すき間が小さい場合は、防水テープでふさぐ、すき間が大きい場合は先ほどご紹介したように、防水層の再施工を専門の業者に依頼しましょう。
鉄筋コンクリート造の場合、耐久性にすぐれ耐火性も高いなどのメリットがあります。その反面、構造上ひび割れが起こりやすく雨漏りの原因の特定に時間がかかるなどの注意点もあります。